こんにちは、日本墓石店100選の菊池です。
今回、取材させていただいたのは、宮城県塩竃市で118年の実績をもつ
志賀石材店、専務取締役の志賀巧基さんです。
2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災。
震度7、場所によっては10m以上の津波にも耐えた志賀石材店の耐震施工の裏側に迫ります。
↑3.11東日本大震災後の津波の影響で大きな打撃をうけた志賀石材店本社ショールーム。
こちらは津波から3~4日目の状況です。
↑現在は美しいショールームを再建されていました。
取材をさせていただく前に志賀さん(以下、志)にお話を伺いました。
菊) 御社の耐震施工の特徴はどのようなところにあるのでしょうか?
志) 強固な基礎工事と、耐震L字金具止め、そしてステンレス心棒による施工ですね。通常の施工では、1回目の地震には耐えられますが2回3回目には耐えられません。L字の金具をボルトで止めた上から20センチ程コンクリートを入れるともう動かないですね。また、ステンレス心棒は、石塔だけでなく、外柵、墓誌にもそれぞれ2本ずつ入れていきます。ステンレス心棒がの中の隙間はボンドで固めているので、とても多くのボンドを使っていますね。耐震ゲルは使っていないです。しかし、お墓は劣化するのでメンテナンスが必要ですね。ねじ割れがないかなどアフターフォローをしていきます。
東日本大震災でも耐え抜いた強固な耐震施工
菊) 震災後、お客様のお墓に対して変わったことはありますか?
志) 震災以降は洋型のお墓を求められる方が増えています。安定感のある印象を持たれるようです。でも、震災の時はとくに和型のお墓が倒れているものが多くて、その時のイメージが強いんでしょね。私たちからすると、和型でも耐震施工をすれば問題ないですけど。
菊) 津波の後のお写真を見させていただきましたが、想像を絶します。
志) お客さんに見せると、ここまで(津波が)きたんだねーと驚かれますね。
私は車を運転していたんですけど、車から飛び出して、立ってられなかったですね。その後、1時間後くらいに津波がきました。となりのパチンコ屋すべて流されてしまいました。
菊) 志賀石材店さんの強みはやはり耐震施工だと思いますが、ステンレス棒を多く使うため、原価が上がるのでは?
志) 他社さんとそこまで変わらないと言われますね。平均すると総額で150~160万くらいではないでしょうか。石材によっては白御影など、100万切る事もあります。大きさによって。
菊) 黒い石が多い印象がありますが。
志) このへんはほとんどの方、黒系のお墓を好まれます。また、最近では国産も出るようになりました。
菊) 宮城といえば伊達冠石ですが、こちらはでますか?
志) 伊達冠石は年に2~3回くらいは出ますね。青っぽい色合いから、赤っぽいお墓へと経年変化するところがとてもたのしいです。私の志賀家のお墓も伊達冠石ですよ!
菊) 檀家離れは感じますか?
志) 仙台は曹洞宗が多いですが、こちら(塩釜)は臨済宗が多いですね。お墓参りする方が減っているので、どうしようかと相談に来る方はとても増えましたね。東京に移動したという方もいらっしゃいます。ただ、東京は高いので迷われますね。
50回忌まで見て、更地にするというふうに伝えれば安心していただけると思います。
こちらは境内のほうが人気があります。そこまで、公営墓地と値段が変わらないので。親切なお寺さんが多いですから。
菊) 最近、力を入れていることはありますか?
志) クリーニングにも力を入れていますね。年々クリーニング会員に入る方は増えています。お盆、お彼岸、年始など定期的にクリーニングを行い、1年を通してお墓をきれいに保つことができますので。
菊) 地域(宮城県)ならではの風習とかあるんでしょうか?
志) この辺は葬儀したらその日のうちにお墓に入れることが多いです。
なので、まだ骨壷が熱いって事もあるんですよ。
菊) そうですか、東京では納骨は身内の方だけで執り行うことが多いですね。1日で葬儀をして、お墓に入ってしますと少しあっけない気もしますが、、、。
志) 皆さま、その日のために遠くから来る方もいるので、多くの方に見送られて納骨まで行いたいという風習がありますね。
ありがとうございました。
では、いよいよ耐震施工の現場へ向かいます!