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庵治石(あじいし)

▼基本情報
よみ:あじいし
産地:香川県庵治町・牟礼町にまたがる五剣山の山麓
色合い:種類によって違い、庵治細目は青黒く、庵治中目は白

庵治石のお墓はその原石だけの価値では決して無く、庵治産地で吟味、加工されていることも重要な要素なのです。
それは当産地以外ではほとんど加工されることが無いことからもわかるように、他では手に負えない難しい石なのです。
長年、産地で庵治石を扱ってきた者だけが見極めることができる研ぎ澄まされた感覚、
超高額な原石だけに失敗は常に許されない製作環境に生きる超一流の職人の手により形作られています。
庵治石のお墓はどうしてそんなに高いの?この答えの一つはここにあるのです。

海外の石も含めて多種の製品を創ってきたこともあり、庵治石の良さを説明する言葉がこの歳になってようやく纏まってきました。
花崗岩の中では緻密で硬いが適度な粘りもあり繊細な加工に適している、吸、排水率が良く風化、汚れにくい、
この程度の石は日本には多く存在するはず。他に類の無い点はやはり「斑」の存在する独特の表情であり、
これはただ単に珍しいということではなく、世界中の高級石材に共通している「美しい」感を持っていることです。
では、どうして美しいのか、それはそれらの石に共通する「艶の深み」研磨面は石内部へ奥行深さを感じさせる透明感があり、
それが石内部へ潜る「斑」の周囲に見て取れることだと私感しています。
そして、モノトーンでありながらもヨーロッパではブルーグレイと言われた庵治石、堅牢さと共に上品さも併せ持っている花崗岩なのです。

希少性。これについては良く聞くことでありご存知かと思いますが、原石は単純には2段階でふるいにかけられています。
採石側と加工工場、良質のものは総産出量の前者が5~10%を工場へ、そのうち1~3%程度しか完成品になりません。
創業100年になりますが、庵治石のお墓は今まで、原石から加工ロス無く一気に完成したことはほとんどありません。

もう一つの希少性、これ性に共鳴し、無言のうちには庵治産地特有かもしれませんが原石材料には「割増金額」というものがあります。
非常にキズ、ムラの多い岩脈ゆえ大材が採りにくいことに起因するのですが、標準サイズの部材ボリュームが倍になれば原石金額も単純に倍と言うことにはなりません。
ある一定のボリューム、長さにより1.2倍1.3倍・・・と原石単価が変動していきます。大きな庵治石のお墓は完全に特別金額だと思って頂いて間違いありません。

庵治石のお墓はステイタスシンボル:頑張って生きてきた人生の証をさりげなく庵治石で残される方も多くおられるのは。
でしゃばらず、それでいて凛として気高く上品な表情が日本人の感性に共鳴し、
言わずともメイドインジャパンが裏打ちされているからではないでしょうか。

執筆者:
香川県 有限会社髙橋石材 高橋省司

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