2015.07.02
皆さまはお墓参りと聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか?
小さい頃は家族や親戚に手を引かれ、半ば記憶にはないご先祖様のお墓の前で手を合わせる、そんな経験をされた方も多いと思います。
お墓では眠られている大切な方に近況の報告をしたり感謝の想いを伝えたり、人によってその背景は様々です。
では、そのお墓を本業とする石屋さん(墓石店) の社長たちは、一体どのような想いでお墓参りをされているのでしょうか?
日頃知ることのできない石屋さんの社長自身のお墓参りについて、『日本墓石店100 選』に入っている石屋さんに、自身のお墓にまつわる秘話や想い出をお話しいただきました。
どうぞご覧ください。
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有限会社 中村石材(東京都)
代表取締役 中村 良太 様
中村家のお墓は、平成6年に先々代が建て直しをいたしました。
菩提寺であり出入りのお寺でもある「東北寺」様にはほぼ毎日来るので、お墓参りというよりも、挨拶に来ているような感覚です。
先代である父が亡くなったのは約3年半前、私が中村石材を継いだのもそのときです。
月命日である18日には改めて線香と花を供えます。
従業員も、先代を知っている業者の方も、仕事で来た際にはお墓参りをしてくれます。
中村石材は父親の実家で、姉妹店である黄金井石材は母親の実家です。石屋同士の結婚でした。
実家の川口(黄金井石材)も同じく、家の目の前に菩提寺であり出入りであるお寺があったので、幼いころから常に生活とお墓参りがそばにある環境でした。
黄金井家のお墓は5年前の2010年に近所のお寺に改葬したのですが、そのときの工事は私が担当しました。
お墓は仏様の御骨を安置する場所という意味だけでなく、美しいモニュメント、一種の芸術作品だと思って仕事をしています。
何万年かかり形成された石材を命がけで採掘する丁場があり、石工さんが美しく、正確に加工し、字彫職人さんが繊細な字彫を仕上げ、それを美しく、正確で、丈夫なお墓として完成させるのが私の仕事です。
日本をはじめ世界の様々な石材の美しさや奥深さをお客様に知っていただき、お墓やお墓参りを大事にしていただきたいです。
お参りに関して言うと、私は御骨という対象があって初めてお墓参りだと思っています。
海洋散骨や樹木葬、お参りする対象がどこにあるか分からない状態で、果たして本当に供養の気持ちは生まれるのか。
お参りする対象を残しておくという意味でも、どんな形であれ御骨を残しておくべきだと考えています。
お参りする対象がない環境で育った子供たちが、親が死んだときに御骨を残すでしょうか。
自分ももともと、祖父母のお墓参りに対しては熱心というわけでもありませんでしたが、
父親が死んで初めて、いろいろ残してくれたものに対しての感謝の気持ちから、自然とお墓参りという行動に繋がりました。
初めから熱心な方は少ないと思います。自分にとって一番近い故人を思う気持ちがあれば、お墓参りというのは自然の流れだと思っています。
仕事場に父の墓があるというのは、石屋特有ですが、本当に常に仕事ぶりを見られている様に感じます。
先代も先々代も、最後のギリギリまで現場に出ているタイプでしたので、現場にいると余計にそう思います。(文・中村 良太)
◆建立時期 :平成六年
◆建立者 :先々代 中村清
◆石種(お石塔):茨城 羽黒糠目
◆石種(外柵他):茨城 真壁小目
有限会社 中村石材様のページはこちら↓
http://bosekiten100.com/detail/194/data.html